こんにちは。今日は最近世界を賑わせているAIについて、約23年ほどIT業界の末席を汚す者として所感をお伝えしたい。
AIと私の付き合い
2023年頃まで時は遡る。それ以前、2021年頃のマイニングブームで大量のGPUを使ってマイニングをしていたが、ブームは過ぎ去り、処分しようか悩んでいたときに「AIで画像が生成できる」ということを知った。私は何かビジネスとして使えないだろうかと色々と試行錯誤を繰り返していた。この頃に「AIはプロンプトがとても大事」ということを学び、AIと対話する基礎を学んだ時期だった。残念ながらビジネスに転用する案が思いつかず、精々「テスト用の商品画像」程度の使い道しかできなかったが、リアルな人物や風景の画像が作れたので、当時はとても感動した記憶がある。
そこからChatGPTなどが誕生した。ChatGPTは普通に人間と会話するようなレベルの精度でとても感動した。簡単なソースコードなら作れることも驚いた。次の時代に進む音が聞こえたと思う。
エンジニアは仕事がなくなるのか?
2025年後半(11、12月辺り)からAIは急速に進化した。特に私が評価しているのはClaudeだ。ChatGPTは人間的な表現が得意(より人間らしい話し方をする)が、ClaudeはChatGPTよりもソースコードの品質が良かった。まだ業務で使うには時代(AIではなく人間側)が追い付いていないと思ったので、個人的に仕事で欲しかったソフトを開発するために使っているが、とても簡単な指示でプロトタイプレベルなら問題なく出力してくれる。
読者諸君が気になっている”現時点の評価”としては、
「中級以下のエンジニアは仕事がなくなり、上級エンジニアはより需要が上がる」
というのが個人的な見解だ。エンジニアではない人向けに分かりやすく言うと、
「0から70%~80%を作るのはとても得意。だが80~100%、特に最後の”5%”を作ることがとても下手」
エンジニアで初級者と上級者の差は「90%~100%を作る部分」で大きく分かれる。具体的に言うと、セキュリティ耐性、仕様変更耐性、障害が発生したときの特定のしやすさ、複雑なロジックでも誰が見ても直感的に分かるコードの美しさなどが挙げられるが、その部分が個人的に「中級エンジニア」の域を出ていない。
出来上がったソースコードを見て「違うんだよなぁ」とぼやきながら指示を出す。自分でやった方が早いと思いながら指示だけでどこまで頑張れるかを実験しているが、やはり最後の”5%”は自分でやった方が確実に早い。
だが、0~80%という「エンジニアとしては(技術的に)面白く無くて、とても面倒くさい部分」を数分で作成してくれるのは驚嘆に値する。今まで初級~中級レベルのエンジニアが担当していた部分はごそっとAIに置き換えられる。
企業としての最適解
結論を言えば、
「上級エンジニアをどこよりも高単価でさっさと囲い込んだ方がいい」
となる。初心者~中級者のエンジニアではAIの生成物の「残りを100%に完成させる作業」ができない。なんとなく80%の成果物を「できました」と報告された挙句、障害が発生した時に特定が困難になる。
現時点のAIの性能なら上級エンジニアの能力を何倍にもブーストすることができる。スタートアップなら「AIを使いこなせる上級エンジニアを1人」雇って「高性能なAIのサブスク」を与えるだけでいいレベルだと思っている。
ITの開発は「人数=正義」ではない。普通のエンジニアを10人集めるより、上級エンジニアを2~3人集める方が遥かに仕事は上手くいく。ここを知らずにむやみやたらに人だけ増やして炎上した案件を私はたくさん現場で経験してきた(そして悲しい事に炎上案件の火消しとして私は招集される)
なので、この記事を見ている経営者がいるなら「とにかく上級エンジニアを集める」事を推奨する。ただの上級エンジニアではない。「AIを使いこなせる上級エンジニア」だ。なぜならエンジニアの中には一定数「反AI」派がいるのだ。「AIにソースコードを書かせるなんて危険だ!」と言いながら「クラウドに業務のドキュメントやソースコードをアップロードする」ような矛盾を平気でやる人もいる。そういう人材は避けた方が無難だ。
何も「AIが安全、クラウドが危険」という話をしているのではない。それぞれリスクとリターンが存在し、リスクを最小限に減らした上でリターンを追求することが正しいと私は考える。
セキュリティの分野ではAIの活用が急速に進んでおり、既知の脆弱性パターンの検出においては人間の目だけでは追いつかない規模に達している。AIを活用したセキュリティ対策を取り入れないこと自体がリスクになる時代だ。
とても辛辣な言い方をすると、環境に適応できない人はこれからの未来を生き残れない。この世は「適者生存」である。
普通のエンジニアが生きる道
では、初級~中級のエンジニアは今後どうしたらいいか?いくつかパターンがある。
1. AIを使いこなして「プロンプトエンジニア」として生きていく
ソースコードを自分で書くのではなく、AIにソースコードを書かせる。ここで重要なのは、「適当な指示」を出すのではなく「AIに最適化した指示の出し方」だ。これができる人はまだとても少ない。
例えば、喫茶店のメニューを作る時に、
「喫茶店によくあるメニューを作って」
ではなく、
「うちの喫茶店は80年代の喫茶店をテーマにした喫茶店だ。少しレトロなデザインで、おすすめの当店オリジナルコーヒーが目立つ形でメニューを作って」
とする。少し簡易的に書いたが、出来上がるものはまったく違うのは想像に難くない。つまり、
「技術力で勝負するのではなく、AIとの対話能力で勝負する」
これだけでも現時点ではかなり重宝される存在になる。
2. システムエンジニア(顧客との調整・設計書作成)、QA(品質管理・レビュー)など別の職種へコンバートする
この分野はまだ人間の需要があると思っている。残念ながら現時点において既に「コードしか書けない人間」は不要になっている。だから「人間の得意分野」に移動するしかない。
・詳細な設計書が作れるようになれば、AIの品質はかなり上がる
・AIが作った成果物のコードレビューはまだ人間がやる必要がある
・実際の運用に耐えられるか、保守しやすいかなどの品質管理など「人間が必要」な部分はまだまだある
まとめ
色々書いたがAIの進化速度を観察していると、あと数年以内にこの辺りの問題も解決されるだろう。その時、ほとんどのホワイトカラーは仕事を失うかもしれない。今まさに「適者生存」が問われている。
もしあなたがホワイトカラーなら焦った方がいい。時代は待ってくれない。「アリとキリギリス」のように今のうちにホワイトカラーが不要になる時代に向けて準備をしたほうがいいだろう。
私はAIと共存して生き残るために去年の12月から既に準備をしている。私の哲学は「AIは敵ではなく友である」だ。自分の仕事を無くす存在ではなく、私の仕事をサポートしてくれる頼れる相棒だ。
大事なのは「AIと人間。お互いの不足を補い合える関係の構築」だと私は思う。そう考えれば、自分がこれからどうすればいいかは自ずと道が見えてくるだろう。
AIの活用が最先端を走る将棋の世界では「AIは人間よりもはるかに強い」という結論が出ている。それでも人間同士の対局は残り続けている。私はそこに、人類がAI時代を生き残れる手がかりがあると思っている。
また次回お会いしよう。